ある日、少女は、言った。

『わたしの命って、誰のもの?』

すると、少女を見守り続けていた天使たちが応えはじめた。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「あなたの命は、あなたのものですが、

本当は誰のものでもないのです。

私たちは、そのことを伝えにあなたの側にずっといるのです」

「誰のものでもない?じゃあ、わたしって、なあに?」


「あなたという魂の存在というだけ。そして、それは、誰のものでもないのです。

決して、あなたのものでもないし、誰かのものでもない、自由に使うことはできないけれど、あなた自身が決められることはあるのです」

少女は、自分が生きている意味をずっと知りたかった。

「私はね、本当は、もっと背も高くなりたかったし、もっと自由なお家に産まれたかった。

それに、髪の毛は、もっとストレートで、黒目も大きくなりたかった。

身体も、みんなと同じように、丈夫になりたかったし、

ずっとお姫様でいたかった」

無いものを探す言葉がなくなった。天使たちは、少女をやさしい目で見守りながら、こう言った。

「では、誰かが、あなたの人生を丸ごと同じように体験できるとしたら、

あなたは、その人に、自分と同じ人生をあげますか?」

少女は、ためらって、少し首を振った。

「でも、私には、優しいお母さんがいたわ。家の前には、大きな森があったし、そこをおばあちゃんと散歩した日々は、本当に楽しかった。

私を愛してくれた犬がいたわ。私になついて、心を寄り添ったり、涙をなめてくれたり、ずっと側についてくれていたわ。

曽祖父がなくなってからも、ひいおじいちゃんは、いつも私の側にいる感じがしたわ。私を見守ってくれているように思ったし、大事にされていると思った。

父は、乱暴なこともあったけど、私を小さい頃、海や、水族館、遊園地、

休みのたびに、どこかへ連れて行ってくれたわ。

大人になって、真友にも出会えて、彼女と出会えた時間は、とてもスペシャルで、他には味わえないものだと知った」

少女は、数え上げた。天使たちは、


「では、あなたの人生の中で、最高だと思う瞬間を思い浮かべてみて」

と言った。

少女は、自然が好きで、大好きな山にいて、木漏れ日や、鳥のさえずりを聞いているときを思い浮かべた。

「その想いを解き放ってごらん」

心行くまで、その時の時間を感じた。

緑が、あふれていて、風も空も、鳥も空を舞い、

全身で、感じているその瞬間を喜びを感じた。

木が、はあなしかけてくる、自然が、息吹が、心にしみ

包んでくれている

大好きな神聖な森。わたしの森。

「今、何を感じていますか?」

「やさしい気持ち」

少女は応えた。

「では、今、一つだけ感謝を持てるとしたら、何ですか?」


木漏れ日、新緑、緑黄、深い濃い緑、ざわめき、

声、土の香り、やさしい視線たち


「ここに、いられること。味わえること」

少女は、その命に、感謝した。

私が産まれてこれたのには、とてもたくさんの計らいや

手があったと感じる。

木のざわめきも、どれひとつをとっても、みんなで成り立っていた。

葉がゆれて、風が運んで、土が、冬から春に変化して

種が運ばれて、土にまかれて、太陽の温かさがあって、宇宙からの雨があって、

土を潤わせて、去年まかれた種が、その情報を受け取って、

そっと、生命をはじめる。

少女は、その自然の循環の一部に、わたしの命があるように思えた。


「天使さん。私の命も、こうなのですか?」



天使は、やさしく応えた。


「すべての命が、あなたの命の一部であり、一つなのです。

あなただけが、独りでに発芽するということはできないように、

すべての命は、関わりあって、織り成して、また土に返って、

また次の年に、新しい若芽となって、還ってきます」


「じゃあ、私という命はなんなのでしょう。どうして、寂しいと思ってしまうのでしょう。本当は、みんなで織り成して、混ざり合いながら、こんなに温かいはずなのに。独りだなと思ってしまう、私の命とは?」

少女は、とても孤独が強かった。

天使は、微笑む顔を崩すことなく、応えた。

「それは、あなたが大地の一部であり、魂の先端にいて、

この地球と一体となっているからです。

あなたの情報は、この地球の鼓動と深く繋がりあっているのです。

あなたが感じていた寂しさは、もはや、あなただけが感じていることではなく、この地球や魂たちの先端で、今日生きているものたちもまた、同じことを感じていることでしょう」

少女は、いぶかった。真実は、温かいはずなのに、どうして、そんなことがあるのでしょう?


「だからこそ、あなたは、記憶の片隅にも、この森を思い出してくれた。

あなたが、自分の森に帰るとき、真実とともにいることができるでしょう。

今、この地球の鼓動に生きているものたちにとっては、

孤独や、むなしさを感じやすいかもしれない。それは、誰かが悪いなどではなく、

あなた方ひとりひとりが、今、魂の選択を強いられているから。

本当の行いとは、心からの喜びとともに、行うこと。

怖れや不安から来る行動には、限界があるのです。

あなたが、森で感じた鼓動は、魂本来の姿。

あなた方ひとりひとりが、魂の音で生きることを選択させられている。



私たちは、あなた方に伝えたい。


心に強いた制限をはずしてください。

そして、もっと心が躍ること、自由に羽ばたける姿を

創造してください。

あなた方は、すばらしいのです。

地球が、あなた方を選んだのです。

そして、大きな喜びで舞う日がいつか必ず来ることを、

私たちは、すでに選択しています。

これには、今、あなたを萎めている心の負荷、制限を

解いてくれる必要があります。

なぜなら、あなた方の一生は、短い。

決して、長くはないのです。

心に忠実に舞うことを恐れている暇などないのです。

地球は、あなた方を選んだ。

その背景にあるものは、

あなた方が、いまこそ、手を、喜びの手を取り合って、

この地上を楽園にしてゆくことが可能な魂だからです。

打ち震えるのではなく、

心のままに、心の大空のままに、

自由に羽根をのばして、飛び立たせることができる。

自分に設けている制限を、どうか、解いてください。

それは、もう必要ないのです。

私たちは、あなた方をサポートしたい!

だからこそ、あなたの心の羽根を、忠実に、

そして、未来へつなげていけるものは、

あなたの御霊からなる真実の愛の花、

心に咲いたあなたの喜びの花を忘れないで。

あなたは、ここにいるだけで、選ばれている存在たち。

その御霊、身体を

喜びのために、使い

この地球に、愛の花を咲かせていってほしいのです」


少女は応えた。

「どうして?」

愛の花を咲かせていかなければいけないの?


天使は、やさしく微笑んだ。


「それが、すべてのものたちの、自由であり、

望みだからです」


少女は、考えた。

「じゃあ、わたしの身体も心も、地球に愛の花を咲かせることを

望んでいるということ?」


「もちろん!

いいえ、

あなた方は、そのために、この星に生まれてきたのです」


sora4
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天使とちいさな少女の物語 vol,1